個人再生をすると財産はどうなりますか？

個人再生の場合、自己破産と異なり、個人再生を申し立てた債務者の財産を競売にかけるなどして、換価して債権者に配当することは行いません。

そのため、個人再生をしても、財産はそのまま手元に残すことができるのが原則です。

ただし、個人再生の場合には、清算価値保障原則というルールが設けられています。

これは、個人再生の再生計画に基づく返済額について、自己破産をした場合に債権者に配当されることになる財産価値より低い金額には、引き下げることはしないという考え方に基づくものです。

したがって、個人再生の場合には、財産を手放す必要はないことになりますが、その財産と同額の借金は少なくとも返済をできなければ、個人再生が認められないという制約を受けることになります。

ただし、財産に担保権が付いている場合には、例外的に、個人再生をすることで、その財産を失うことになります。

例えば、自動車ローンを組んで購入した自動車に対しては、債務者が自動車ローンを払えなくなった場合に、所有権留保などの方法によって自動車を引き揚げることができるように、自動車ローンの債権者が担保権を持っていることが一般的です。

個人再生をする場合、自動車ローン債権者などの一部の債権者だけを選んで返済を続けるということは認められませんので、その他の債権者に返済をストップする以上、自動車ローンの支払いも中断しなければならなくなります。

その結果、原則として自動車は引き揚げられることとなり、自動車を失うこととなります。

ただし、住宅ローンについては、住宅資金特別条項という例外の条件を満たせば、個人再生を行う場合でも、例外的に住宅ローンの債権者に対して支払いを継続することが認められています。

そのため、住宅資金特別条項を利用して個人再生をすることができる場合には、自宅に抵当権などの抵当権が付されている場合でも、自宅を失うことなく、個人再生による借金の整理が可能となります。